- 久留米・鳥栖・熊本・大牟田の中古マンションが、実際にいくらで取引されているか
- 2017年から2025年まで、8年で価格がどう動いたか
- 「売りたいときに買い手がいるか」を年間取引件数で見る方法
- 値上がり率だけで選ぶと危ない理由
結論|値上がり率で選ぶと、売るときに困る
先に結論を書きます。4つの市を実際の取引データで並べると、「価格が上がっている市」と「売りやすい市」は一致しません。
| 見るもの | 1位 | その意味 |
|---|---|---|
| 価格の伸び | 鳥栖(年平均+10.3%) | ただし取引は年17件 |
| 取引の多さ | 熊本市(年155件) | 価格は4市でいちばん高い |
| 両方のバランス | 久留米(+6.5%・年92件) | 伸びも取引量も中位以上 |
| 価格の安さ | 大牟田(1,700万円) | 8年でほぼ横ばい |
マイホームは投資ではありませんが、10年後・20年後に手放す可能性がある以上、「そのとき買い手がいるか」は無視できません。取引が年17件の市では、売りたいと思った月に買い手が現れるとは限らないからです。
使ったデータ|売り出し価格ではなく、実際に売れた価格
この記事の数字は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」が公開している不動産取引価格情報を、当サイトが集計したものです。取引した当事者へのアンケートに基づく、実際に売買が成立した価格です。
不動産サイトに載っている金額は「売主が希望している価格」なので、実際に成立した価格とは別物です。値引き交渉のあとの金額は表に出ません。判断の土台にするなら、成立した側の数字を見るほうが確かです。
・対象:中古マンション等(2017〜2025年の取引)
・絞り込み:専有60㎡以上・築25年以内(ファミリー向け)
・市区町村単位(久留米市/鳥栖市/熊本市中央区・西区/大牟田市)
・比較用に福岡市博多区も併記
60㎡以上・築25年以内で絞ったのには理由があります。市区町村の全体平均には、投資用のワンルームや築40年の物件が混ざります。それを含めた数字は、家族で住む70〜80㎡の物件を探している人には使えません。実際、久留米市の全体平均は㎡あたり20.0万円ですが、ファミリー向けに絞ると33.1万円で、1.6倍以上の差が出ます。
4市+博多の実取引(2025年)
| エリア | ㎡単価 | 取引価格 | 年間件数 | 築年数 |
|---|---|---|---|---|
| 熊本市(中央区・西区) | 38.6万円 | 3,100万円 | 155件 | 12年 |
| 久留米市 | 33.1万円 | 2,700万円 | 92件 | 15.5年 |
| 鳥栖市 | 30.0万円 | 2,700万円 | 17件 | 13年 |
| 大牟田市 | 18.9万円 | 1,700万円 | 20件 | 20年 |
| (参考)福岡市博多区 | 80.5万円 | 6,500万円 | 340件 | 16.5年 |
※ いずれも2025年の中央値。専有面積の中央値は4市とも80㎡前後(大牟田のみ87.5㎡)。
同じ80㎡でも、大牟田と博多では取引価格に4,800万円の差があります。同じ九州の、同じ広さの部屋です。この差がどこから来ているのかは、次の推移を見ると見当がつきます。
8年でどう動いたか(2017年→2025年)
| エリア | 2017年 | 2025年 | 通算 | 年平均 |
|---|---|---|---|---|
| 久留米市 | 20.0万円 | 33.1万円 | +65.7% | +6.5% |
| 熊本市 | 32.0万円 | 38.6万円 | +20.5% | +2.4% |
| 大牟田市 | 17.3万円 | 18.9万円 | +9.1% | +1.1% |
| (参考)博多区 | 44.3万円 | 80.5万円 | +81.7% | +7.8% |
※ 鳥栖市は2021年以前のファミリー向け取引が年8件に届かず、中央値を出していません。2022年(22.4万円)から2025年(30.0万円)の3年間では通算+34.2%・年平均+10.3%でした。
ここで注目したいのは久留米の+65.7%です。博多の+81.7%には届きませんが、熊本(+20.5%)の3倍以上の伸びになっています。新幹線と在来線が同じ駅で使える立地と、福岡市への通勤圏という位置づけが背景にあると考えられますが、この記事のデータだけでは理由までは断定できません。
逆に大牟田は8年で+9.1%、年平均にすると+1.1%です。物価の上昇を考えると、実質的にはほぼ横ばいと見るのが妥当です。
見落としやすい「年間何件売れているか」
価格の推移と同じくらい大事なのが、1年間に何件の取引が成立しているかです。これは「売りたいと思ったときに、買い手を見つけられるか」に直結します。
| エリア | 年間取引 | 1か月あたり |
|---|---|---|
| 熊本市(中央区・西区) | 155件 | 約13件 |
| 久留米市 | 92件 | 約8件 |
| 大牟田市 | 20件 | 2か月に3件 |
| 鳥栖市 | 17件 | 1か月に1〜2件 |
鳥栖市は価格の伸びが4市で最も大きい一方、ファミリー向けの取引は年17件です。1か月に1〜2件しか動いていない市場で、自分の部屋がその1件になる保証はありません。転勤や家族構成の変化で急に売る必要が出たとき、時間がかかるか、価格を下げる判断を迫られる可能性があります。
逆に熊本市は年155件と、4市で群を抜いています。価格の伸びは緩やかですが、出口の確実性という意味では最も安心できる市場です。
エリアを選ぶ前に確認したい4つのこと
① そのエリアの年間取引件数を調べる
年20件を下回るなら、売却に時間がかかる前提で資金計画を立てます。
② 全体平均ではなく、自分が買う条件で絞った数字を見る
ワンルームや築古が混ざった平均は、70〜80㎡を探している人には使えません。
③ 8〜10年の推移を見る
1年だけの数字は、たまたま高い物件が数件売れただけで動きます。取引件数の少ない市ほど、この影響が大きくなります。
④ 上がっている理由を自分で説明できるか確かめる
説明できないまま「上がっているから」で選ぶと、理由がなくなったときに判断を変えられません。
このデータで分からないこと
駅からの距離は含まれていません。公開されている取引データに最寄駅や徒歩分数の情報がないため、駅近と郊外が同じ数字の中に混ざっています。同じ市内でも駅前の物件は中央値より高くなるのが普通です。
市区町村より細かい単位では比べていません。熊本市は中央区と西区、その他は市全体です。鳥栖市は市の中で新鳥栖駅と鳥栖駅を分けられないため、同じ数字になります。
将来の価格を示すものではありません。過去8年こう動いた、という記録です。人口の動きや金利、周辺の開発で変わります。
よくある質問
A. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公開されています。誰でも無料で検索でき、地域と期間を指定して取引価格を確認できます。この記事では、その公開データを条件で絞って集計しています。
A. 不動産サイトの金額は「売り出し価格」で、成約価格ではありません。交渉で下がることがあるため、実際に成立した価格のほうが低くなる傾向があります。この記事は成立した側の数字です。
A. 間違いではありません。1,700万円と3,100万円では、借入額も毎月の返済も大きく変わります。ずっと住み続ける前提で、通勤や実家との距離が合っているなら合理的な選択です。ただし「売って住み替える」計画があるなら、取引件数の少なさは織り込んでおく必要があります。
A. この記事のデータは中古のみです。新築は販売価格に広告費や販売経費が含まれるため、引き渡し直後に中古市場の水準へ近づく傾向があります。売る可能性を考えるなら、その差がどのくらいかを新築の価格と上の中古の㎡単価で比べてみてください。
まとめ|「伸び」と「件数」を並べて見る
4市を1つの表にすると、それぞれの性格がはっきりします。
| エリア | 強み | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 熊本市 | 取引が年155件と多く、売りやすい | 価格が高く、伸びは緩やか |
| 久留米市 | 8年で+65.7%、取引も年92件 | すでに上がった後の水準で買うことになる |
| 鳥栖市 | 直近3年の伸びが年+10.3%と大きい | 取引が年17件と薄く、売却に時間がかかりやすい |
| 大牟田市 | 1,700万円と借入額を抑えられる | 8年で+9.1%とほぼ横ばい、取引も年20件 |
どの市が正解かは、住み続けるのか、いずれ住み替えるのかで変わります。ただ、どの市を選ぶにしても、年間の取引件数だけは買う前に見ておいたほうがいいというのが、8年分を並べて出てきた答えです。
参考にした情報
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報(2026年8月26日取得・2017〜2025年の取引を当サイトが集計)
本記事は、公的機関が公開している取引データを整理した情報です。特定の物件・エリアの購入を勧めるものでも、将来の価格を保証するものでもありません。実際の購入判断は、物件ごとの条件・契約内容・ご家庭の資金計画をもとに、不動産会社や金融機関にご確認ください。





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